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皆アニメ見た?俺は見た。|2023春クール

COLUMN

はじめに
酷暑の中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。自分の方はと言うと前回の記事

を投稿してから気が付けばはや4ヶ月が過ぎてしまいました。アニメの1クールが始まって終わる4ヶ月もの期間、一体自分は何をしていたのか、何もしていなかったのか、否、この4ヶ月自分はアニメを見ていました。これは「アニメ見ようよ」なんて軽々しくのたまった自分がそんなアリバイを証明すべくひたすらにInd-Zinの雰囲気をガン無視して書きなぐった自己満足な軌跡であります。

皆アニメ見た?俺は見た。

レギュレーション
23春クール(4月1日~7月6日)の期間に最終回を迎えたアニメを、曜日と放送時間順に追っていき、感想を書いていって最終的に西域に辿り着こうという試みです。
俺の一週間を追体験してください。めんどくさいという方は目次から飛べるようにしておきました。気になるアニメに直行してください。

住んでいる場所の都合上、放送時間などは東京の準拠です。

星や点数で評価してランキングを付けるよくある形式への憧れは滅茶苦茶あるのですが、実家が〝アニメはいつでも何でも面白い〟という厄介な宗教を信仰しているので教義に則って評価はつけず、個人的な感想だけでごり押します。かなり視聴前提というか、見た感想をそのままぶちまけているので、面白いから見ようよとレコメンドする内容にはなっていません。すいません。

あらすじなどは公式へのリンクを各アニメの最初に乗せておくので興味が出た方はぜひ。では春アニメ29本いくぞおら!

  1. 月曜日
    1. 22時~「彼女が公爵邸に行った理由」
    2. 22時30分~「くまクマ熊ベアー ぱーんち!」
    3. 0時30分~「VINLAND SAGA SEASON2」
    4. 1時~「アリスギア・アイギス EXPANSION」
    5. 1時30分~「絆のアリル」
  2. 火曜日
    1. 23時30分~「スキップとローファー」
    2. 0時~「東京ミュウミュウにゅ~」
    3. 1時29分~「THE MARGINAL SERVICE」
  3. 水曜日
    1. 23時~「推しの子」
    2. 0時~「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」
    3. 1時~「この素晴らしい世界に爆炎を」
    4. 1時30分~「神無き世界のカミサマ活動」
  4. 木曜日
    1. 23時30分~「私の百合はお仕事です!」
    2. 0時~「opus.Colors」
    3. 0時30分~「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜」
    4. 1時~「勇者が死んだ!」
  5. 金曜日
    1. 0時30分~「終末のワルキューレⅡ」
    2. 1時23分~「BIRDIE WING -Golf Girls’ Story- 2nd season」
    3. 1時55分~「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」
    4. 2時25分~「江戸前エルフ」
  6. 土曜日
    1. 22時~「天国大魔境」
    2. 0時30分~「山田くんとLv999の恋をする」
    3. 1時~「永久少年(再)」
    4. 2時~「異世界召喚は二度目です」
  7. 日曜日
    1. 22時~「事情を知らない転校生がグイグイ来る。」
    2. 23時~「ワールドダイスター」
    3. 23時30分~「マイホームヒーロー」
    4. 0時~「転生貴族の異世界冒険録」
    5. 1時~「漣蒼士に純潔を捧ぐ」
  8. おわりに

月曜日

22時~「彼女が公爵邸に行った理由」

アニメ「彼女が公爵邸に行った理由」公式サイト
2023年4月放送開始

婚約破棄だとか悪役令嬢といったいわゆる女性向けなろうと言われるようなアニメは最近必ず一本はあるような気がします。流行ってるんでしょうね。
彼女が公爵邸に行った理由は割と早い段階で明かされて、あとはどこか解釈の違う強い女性とイケメン男性キャラのドタバタラブコメディ作品になります。
自分はあまりこの手の作品に前のめりになれなくて、この作品も割と流し見してしまっていたのは大きな反省点でした。
原作が韓国という事で流行りのジャンルでも文化の違いによる異国的な解釈を期待していた部分があるんですが、日本の物とあまり感触に違いが無かったように感じたのは少し残念でしたね。あとどう見てもシングルアクションの銃を連射するシーンがあったのは良くないと思います。

22時30分~「くまクマ熊ベアー ぱーんち!」

TVアニメ「くまクマ熊ベアーぱーんち!」公式サイト

2020年秋クール(10月~12月)に放送されていたくまクマ熊ベアーの二期。

ストーリーにもキャラにもハマっていない身からすると楽しめる部分はユナお姉ちゃんの性格の悪さからくるイキりの部分な訳だけど、あまり量が多いわけでは無かったのが残念でした。もっとイキってほしかった。視聴者がスカッとするために用意されるトラブル、悪人、展開、その全てが稚拙で後々スカッとさせられるんだろうなぁと思いながら見る時間は中々しんどいものがありましたね。満を持して主人公がその全てを水戸黄門よろしく成敗したところで視聴者がスカッとできる訳もなく、「醜悪だね~」と言いながら笑顔になるしかできない。そんなアニメだったように思います。最終話で悪役をふわっとナレーションで死刑にしてたところなんか本当にこのアニメの思想を体現していた気がして笑顔が溢れました。
こんな態度はアニメや原作に対して少し意地悪な楽しみ方だとは思うんだけど自分はどんなアニメが来ても基本受け入れるのでその代わりにこんな不真面目な視聴態度の存在を許して欲しい、認めなくてもいいので。

0時30分~「VINLAND SAGA SEASON2」

TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト
TVアニメSEASON2制作決定!SEASON1はAmazon Prime Video・Netfilx・ひかりTVにて好評配信中!Blu-ray BOX全4巻好評発売中!講談社『アフタヌーン』にて連載中のTV アニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト。

トルフィン、本物の戦士になったね~という感想。一期の最初から示されてきた「本物の戦士」というものの落としどころが非常に美しかったです。この手の非暴力の結論に辿り着く主人公はえてしてイライラしてしまいがちなんですが、結論に至るまでの過程をここまでしっかり描写してくれると納得しか無いし、むしろカッコよさは何倍にも膨れ上がるんだという事を改めて認識させてくれたアニメでした。やっぱり過程の描写は大事です、結論よりも何倍も大事です。
2クール×2期の合計48話かけてやる価値のある、骨太でゴリゴリの名作でした。構想段階ではやる予定だったという蛇の過去編は是非見たかったですね。
2期にあたる農場編が冗長でつまらないなんて前評判を聞いていて少し心配だったんですが杞憂でした。滅茶苦茶面白かったです。続きもぜひアニメで見たいですね。

1時~「アリスギア・アイギス EXPANSION」

TVアニメ「アリス・ギア・アイギス」公式サイト
TVアニメ 2023.4 ON AIR

メインキャラとゲストキャラで好き放題一話完結の話を回して行って、最終2話で少しシリアス目な話で落とす王道構成の同名ソーシャルゲーム原作アニメ。
構成だけじゃなく全体の雰囲気含めてなんだか「Rio RainbowGate!」や「怪盗天使ツインエンジェル」なんかの2010年代初頭によくあった、今ではもう語られることはないけどとても楽しめたパチスロ原作アニメみたいな手触りを感じました。決して古臭いという意味では無くて。
アニメは時代関係なくいつでも面白いものだと信じてはいるんですが2010年前後は自分がリアルタイム視聴を始めた思い入れ深い年なのでやっぱりこの雰囲気を感じると問答無用で楽しくなってしまいます。

ソシャゲ原作アニメでよく見る問題点として、原作のキャラが多すぎて1クールアニメでは到底さばききれないという物があるんですが、このアニメはそこを上手く回避していましたね。
突発的に「皆さんご存じの!」みたいな感じで新キャラが投入されて誰だよって気持ちになるシーンは多々あったんですが話がギャグに振り切っていて滅茶苦茶なおかげでその「誰だよ」って感想もツッコミどころの一つなんだと思えて視聴する上で邪魔になりにくかったのがよかったと思います。もちろん原作ファン向けのアニメであることに間違いはないんですが、CMでキャラ紹介をしたりとかの最低限の導線は確保してくれていたように思いますし。
あと作中でキャラの呼び方を間違えていたのにはびっくりしましたね、「収録後なのでもう直せませんが呼称は日向っち(ひなたっち)ではなく日向っち(ひむかいっち)です」なんてアナウンスが公式から出たのを見たのは前にも後にもこのアニメが初めてで爆笑しました。思いっきり間違えた名前を連呼して終わるし。色んな意味で楽しいアニメでした。

1時30分~「絆のアリル」

TVアニメ『絆のアリル』公式サイト
キズナアイアニメプロジェクト始動!TVアニメ『絆のアリル』が2023年4月3日 深夜1時30分~ テレビ東京・テレビ大阪・テレビ愛知、 4月8日 夜11時30分~ アニマックス 放送開始!

題材こそVTuberにキズナアイと現代風だけども急にファンタジー世界に突入したり音ゲー要素のあるレースゲームがぶっこまれたりと要所要所味わうものは間違いなく古の女児アニメの系譜でした。そもそも本作のセールスポイントであるはずのキズナアイはほとんど登場しないし、なんならOPに映ってる仲間も話が進めど進めど全然登場してこないし。一体どうなってるんだ…。

最も印象深かったのは毎週必ず挟まれる全くカメラが動かない低クオリティのライブシーン。あまりのシュールさに最終話まで絶対に笑っていました。さすがにこんな面白い映像は我慢できなかったです。ただその分最終話で今までが嘘みたいなハイクオリティ長尺ライブシーンが流れた時には変な感動が襲ってきました。フラストレーションを解放させてくれるアニメはいいアニメだと思います。
ED後に挟まれる謎の茶番劇パートも味わい深かったですね。なんで急に本編と全然関係無いNFTの解説が始まったのか未だにわかりません。
話自体は可もなく不可もなく。女児向けか?という印象通りの対象年齢低めの展開が続いきますが、こっちだって月曜深夜1時半にもなれば精神年齢は5歳程度しかないので何の問題もなく楽しめました。終わった後の特番で二期が決定したのも普通に嬉しかったです。二期を素直に喜べるアニメはいいアニメだと思います。

火曜日

23時30分~「スキップとローファー」

TVアニメ「スキップとローファー」公式サイト
月刊アフタヌーン(講談社)にて連載中の共感度MAXのスクールライフ・コメディ!2023年4月TVアニメ放送開始!

めちゃくちゃ面白かったです。本当に良かった。〝眩しくて眩しくて僕は目を逸らしてしまう〟OPの歌詞ですがテレビの前で目を焼かれていた視聴者をよく表していましたね。よくできた青春アニメはそれだけで凶器になる。

個人的に印象に残ったのは3話でした。都会で育った冴えない女子の久留米さんと田舎で育った天真爛漫な芋女子みつみさんの対比が美しくて。二人とも似たような、いわゆる陰キャラとくくられてしまう属性だけども他者に向ける視線は正反対で、ひがみの視線で世界を見る久留米さんに対してどこまでも素直な視線のみつみさん。その違いを生んだのが何かっていうと石川と東京という育ってきた環境の違いなワケで。この作品では通してド田舎で育ったみつみさんを凄くイノセントなものとして描いていて、個人的にはそういった安易な田舎賛美・地方賛美は大っ嫌いなんですがそれはそれとして東京で10代を過ごすっていうのはまた地方とは違った息苦しさがあるんだなという事に気付かされた話でした。
他にも5話で江頭さんが嫌な人間の名前を2人覚えている間にみつみさんが優しくしてくれた人間1人の名前を憶えているシーンもグッときました。凄く良かったですねぇ……自分も嫌な人間の名前を2人覚える方の人間なので、地方育ちなのに。

しょっぱい青春時代を過ごしていたのでこの手の恋愛要素のある青春アニメはあまり好みではなかったりするんですがそんなチンケな自意識を吹っ飛ばしてくれるくらいいいアニメだったと思います。

0時~「東京ミュウミュウにゅ~」

アニメ『東京ミュウミュウ にゅ~♡』公式サイト
あの『東京ミュウミュウ』が『東京ミュウミ...

間違いなく23春クール一番の問題児。トンチキパワーでぶん殴ってくるタイプの痛快怪奇アニメにして個人的MVPでした。
元々は2002年土曜朝アニメのリメイクである今作。まだまだアニメやオタクに対する風当たりも強かった時代で、当時小学生だった自分はそのあまりにオタク向けすぎる絵柄に多分に興味を惹かれつつも両親を安心させるために一切見なかったという悲しい思い出があります。今やこんな有様ですが。
そんな因縁のリメイク作という事で1期の頃から割と尋常ならざる気持ちで見ていたんですがこれがバカ面白かったですね。

この面白さに一役買ったのはやっぱり初回デートで唐突に女性に首輪をつけるサイコ彼氏、青山くんと言動が全てキショいエイリアン、キッシュの2人だと思います。女性向け作品の男性キャラがキザでちょっと引いてしまうなんて事はアニメを見ていたらよくあることだけどこの二人は本当に別格でした。
特にキッシュに関しては終盤、愛のために仲間を裏切り一回死ぬんですが息を引き取るその瞬間まで本当に気持ち悪くて最早かっこよかったですね。今期一番真実の愛に生きていたのは間違いなくこの気持ち悪いエイリアンです、地球人もっと頑張ろう。
女性陣のキャラクターも中々最近では見ないくらい恋愛に対して真っすぐで懐かしい気持ちになりましたね、浜崎あゆみとモーニング娘。の世界観が根底にある平成の少女漫画原作女児向けアニメの貫禄を堂々見せつけていたと思います。
他にもそこまで押し出す必要が果たしてあるのかと思う環境問題要素とか、4クールあった旧作を2クールに圧縮したことによる異常なテンポ感とか、DIOのHoly Diverを思わせるメタル劇判など面白ポイントを挙げればきりがないくらいで、誇張ではなくこの3ヶ月、毎週火曜0時からの30分間はずっと爆笑しながら過ごしていました。火曜日って東京ではアニメの放送本数が他の曜日に比べて少ない曜日なんですが、それを補うかのように暴れ倒していましたね。

なんだか悪口じみたというか、意地悪に面白ポイントを見つけ出して楽しんだみたいな感想になってしまいましたが、間違いなく小学生の自分に胸を張って仇はとったぞと言えるくらい素直に楽しんだ大好きなアニメです。ぜひとも3期を見たいアニメでした。

1時29分~「THE MARGINAL SERVICE」

TVアニメ「THE MARGINAL SERVICE」公式サイト
知られてはイケナイ新サービス、爆誕。TVアニメ「THE MARGINAL SERVICE」2023.4 ON AIR!

本当はミュウミュウの後も3本ほどアニメを見ていたんですが毎週ミュウミュウにやられて全くの流し見状態になってしまっていて感想を持つほど力を入れて視聴できていないので次は時間の空いたこの作品です。

なんというか、不思議なアニメでした。はっちゃけているようで変な所でちょっと硬派、でもふざけてもいる。そんな感じです。
あらすじとしては地球外生命体〝境界人〟の起こす事件だったりテロを防ぐ組織、マージナルサービスの活躍を描くといったところなんですが、衣装はニッカポッカ、武器は現場道具だったりします。なんか変な所で外してくるんだよなぁ。

話は一話完結の境界人がおこす事件を解決しながら本筋の事件の手がかりが少しづつ集まってラストでその事件に立ち向かう海外ドラマみたいなスタイル。
内容も子供の誘拐を調べていくと犯人が実は家政婦だったとか、海外ドラマにありそうな手触りを感じました。結構楽しかったです。

全編にかけて洋画オマージュがちりばめられてて、プレデター、コマンドー、ジョーズ、ブラックホークダウン、ミッションインポッシブル、バイオハザード、ダイハードとそうそうたる面子のパロディを確認できました。そもそも設定からしてMIBだしね。まあそれが何の意味を成してるのかというのはさっぱりわかりませんでしたが。
そんでもって最終話で主人公が昔墜落した宇宙船に乗って、今まさに街を攻撃しようという巨大円盤に突撃するシーン(これも映画インデペンデンスデイのパロディ)のセリフで「俺は80年代が好きなんだ!」というのがあり、ああ、このアニメって在りし日のハリウッド作品への憧憬で出来てるのかなとちょっと腑に落ちました。
設定のMIBからして90年代の作品なので80年代には限定せずに大まかにくくったハリウッド作品、しかも今の深夜アニメを見ているであろう2、30代が子供時代一番テレビで見たであろう作品。そういう基準でパロ元を選別してたとしたらなんだか納得です。ドンピシャ世代ですから。そう考えると、このアニメがやりたかったことってアクション映画版の最強絶叫計画だったんじゃないかなんて思えてきて、最終回が終わった後にこのアニメをちょっと好きになりました。

水曜日

23時~「推しの子」

アニメ『【推しの子】』公式サイト
「この芸能界において嘘は武器だ」赤坂アカ×横槍メンゴの豪華タッグが全く新しい切り口で”芸能界”を描く衝撃作、ついにアニメ化決定!

うおおおお!俺の逆張りスイッチが思いっきり押されているのを感じる!系アニメでした。

水曜日がこれから始まるのが結構憂鬱でしたね。嫌なら見なければいいと思われそうですがアニメ見てない時間に比べたら嫌いなアニメでも見ている方が何倍も楽しいので基本的に見れるのに見ないとか途中でやめるなんて事はありません。

まあなんというか基本的に合わないアニメでした。Not for me. 
その合わないの中に世間で受けている事へのいくらかの逆張りが含まれている事は否定できませんが別に受けてなくても好きにはなれなかっただろうなと思います。
のっけの1話から結構きつくて。
まず設定から結構うーんとなってしまいました。アイドルや声優、女優の妊娠発覚報道で「今死ねばあの子供に転生できるぞ」なんて不謹慎なネタはかなり昔からあるけれど、それをそのままやっちゃうんだというのは中々の嫌悪感でした。
あと作中でこれでもかと詰め込まれる芸能界の闇パートですがなんかネットのまとめ記事みたいで辟易してしまいましたね。別に作中豆知識の出典が民明書房でも何でもいいですが「恋愛リアリティーショーには既にノウハウが蓄積されている!」って言った次の回で演者が番組のせいで自殺未遂を起こすのはどうなんですかね、ノウハウ何処行ったんだよってなりました。話の流れの雑さもこのアニメにノれなかった原因かな。

他にもインターネットの悪意便利に使い過ぎじゃない?とかなんでそこまで〝芸能界の闇教えます〟に拘るのにアイドルだけは純粋なものとして扱うの?とか言いたい事は色々ありますがハマらなかったアニメにあまりうだうだ言ってもあれなので辞めます。

あ、でも一つだけ、作中で有馬かなさんがクソドラマに出ていた時に一人だけ演技が上手いと浮いてしまってドラマを壊すという理由で手を抜いた演技をして、それは有馬かなさんがデキる女優だからだとなっていたのはだめです、許しません。
自分はちょうどちょっと前に「ダ・カーポしませんか」というもう全てがクソのクソドラマを準主役で出演していた武田鉄矢の演技力一つで見れる作品へと昇華させていたのを目の当たりにしたので、あれに10話付き合った人間としてそう言う権利はあるでしょう。

作画とか音楽は凄い良かったと思います。演出も、ただ目が尿路結石みたいに光るのはあの激痛を思い出してむずむずするのでやめて欲しかったです。

0時~「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」

TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」オフィシャルサイト
TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」公式サイトです。2023年4月より放送中!

U149(アンダー149)の意味は身長149センチ以下、このご時世にかなり挑戦的なタイトルを付けたなと思うタイプのアニメでした。

個人的に3話が凄く良かったと思います。11歳のアイドルが色々トラブルが重なってインターネットで生配信をしてしまうんだけど全てが終わった最後の一言で「ま、魔性の女~!!」となってしまって一人で悶えてしまった。なによりこの回が偉かったのはキャラの魅力をビンビンに出してたことだけじゃなくて子供が配信をしてしまったことへの監督不行き届きとして同席した大人がちゃんと怒られてるシーンが入っていた部分があった事だと思います。

題材が題材だけにどうしてもロリコンチックな雰囲気が出てしまう本作において、こうやって作中の大人の倫理観が示されることで「あ、この作品は子供の好きな事をやらせてあげるんだけど、ちゃんと危険から守ってあげる大人の視線も存在しているんだ」と凄く安心したし、ふざけたタイトルに対して内容は凄く真摯に子供を描くことに向き合っているじゃん!と嬉しくなりました。なんてったってU149ですからね。

ただそれ以降がちょっとあらら?と思う様な演出が増えていったのが本当に残念でしたね。個別に見ればいい回も凄く多かったんですが通してみる総じて話の展開は雑で、3話で嬉しかった「子供に対する真摯な大人の視線」はその内容を変質してしまった感は否めないと思います。

第三芸能課の子供たちを凄く純粋なものとして描こうとしてるきらいがあって、それはもちろん必要な視点だとも思うんだけど、その描き方が大人を安易に露悪的に描くというやり方でやってしまったのが残念でしたね。子供たちに対して理解の無い上司たちは喫煙所でずっと煙草吸ってるし。その喫煙所に子供たちが突撃するシーンはこのアニメの良くない部分を象徴するシーンだったと思います。
子供と同じように大人も魅力的に描くアニメであって欲しかったなと、話の作り方ではそれが全然できそうな感じがあっただけに凄く惜しいなと思ってしまいました。

まあそれはこのアニメに何を求めるかという部分で気になって来るだけで単純に原作ソシャゲや、アイマスシリーズのファン向けアニメとしては凄く良い出来だったと思います。謎動物回とか2011年版アニマスをかなり意識してるんだろうなって事も伝わってきましたし。
作画も圧巻で、特にライブシーンは流石に全編手書きという訳にはいかなかったんでしょうけど3DCGと作画の境目がわからないくらいの異次元に突入していたので見ててテンション上がりましたね。

1時~「この素晴らしい世界に爆炎を」

アニメ「この素晴らしい世界に爆焔を!」公式サイト
アニメ「この素晴らしい世界に爆焔を!」2023年4月5日(水)よりTOKYO MXほかにて放送開始

「この素晴らしき世界に祝福を」シリーズのスピンオフ。

本編は凄く好きなんだけどこのスピンオフはどうにも好きになり切れずに終わってしまったという印象ですかね。
まあめぐみんのスピンオフなのでそのキャラをあまり好きではない自分に刺さらなかったのも無理はないかなと思うけども、推しキャラでない人間に魅力を示せないで何がキャラ単品のスピンオフだという気持ちが無いわけではないです。
紅魔の里でわちゃわちゃやってる間は本当につまらなくて今まであまり目立たなかっためぐみんの性格の悪さみたいなものも目についちゃったように思います。ゆんゆんに対して結構一方的に加害者で、態度も上からなのが本当に見ててきつかった。それでその二人の百合感出されてもこっちは冷めてしまうんだよな……。
逆にアルカンレティアやアクセルの街に行ってからは割と楽しかった気がします。アルカンレティアでは徳の低いギャグのキレが少し戻ってきた気がしたし、アクセルの街では本編キャラとのニアミスが楽しかったです、ただそうなってくるとスピンオフとは…?という気持ちも同時に湧いてきてうーんとなってしまいましたね。
アニソンの話をするんですがEDが滅茶苦茶よかったですね。チル系?で。ただシリーズ通してEDにハンバートハンバートがフォーキーな曲を提供していたのでそれもやって欲しかったなと言う気持ちもあります。まあ製作が発表されているこのすば3期でそれは実現してくれると思いますが。総じてあくまで3期に向けた前哨戦そういったアニメだったんではないでしょうか。

1時30分~「神無き世界のカミサマ活動」

TVアニメ「神無き世界のカミサマ活動」公式サイト
異世界で「宗教」始めました。怪しげなカルト宗教の教祖の息子・征人は、教団の無茶な修行で命を落とした――はずが、なんと流行りの異世界転生!そこは「神」や「宗教」の概念のない、征人にとっては理想の世界だった…が!?神無き世界で「宗教」を作る異色の”異世界転生”譚、開幕!!

感想……感想かぁ、すげぇ難しいなぁと思います。このアニメ。

間違いなく楽しいんですよ。僕が思ういいアニメの基準の一つに見ている30分楽しいか、笑顔でいられるかって言うのが結構大きくあって、その点では間違いなく良いアニメです今作は。
ただ放送されている画面はかなり酷くて30分アニメとして成り立っているかという意味ではかなりギリギリな出来です。低予算なのか使い回しは酷いし、動きも悪い、単純に作画のクオリティも低い。それだけならよくある作画崩壊アニメだねなんてありがちな結論で纏められてしまいそうなものですがこのアニメ、その作画崩壊だったり予算の無さゆえの作画節約をかなり意図して演出に組み込んでいて、それが今まで感じた事の無いような視聴体験を生んでいるんですよね。OPとEDをタダのBGMとして捉えているような使い方だったり、作画節約のために実写映像ににキャラの顔だけを合成してワンシーン乗り切ったり、クオリティが低すぎて画面から浮きまくっているCGの動物やモンスター(害獣)とか。それがいちいちちゃんと面白くて、毎回爆笑してました。だってそんなアニメ見た事ないじゃないですか。
でも、じゃあこれを諸手を挙げて爆笑できるいいアニメでした!って言いきっちゃうのにはどうなのか。質が低い事は間違いないですからね、他のアニメが達しているような基準に達していない作品をよしとしてしまっていいのか?という葛藤が自分の中にあります。二回ほど落として最終話が23春クールで最下位の7月5日までずれ込んだりもしましたし。

ただ制作側の低予算で何処までも面白いものを作ってやろうという気概みたいなものはものすごく感じました。そうでなきゃこんな常軌を逸した演出を思いつくはずがない。
本来は視聴者が意地悪な視線で粗を探して笑っている部分を逆手にとって、面白く演出として使ってやろうという試みは完璧に決まっていたのは本当に凄いアニメでした。
ストーリー自体もちゃんと面白くて、よくある転生もの導入から中盤で意外性のある種明かし、そこから突入する宗教バトルは普通に熱くなりました。各宗教の信者数がイコールで神の使えるパワーとなって戦うって言うのは一つ発明だと思いますし。ばかばかしさとアナーキーさを兼ね備えたセックス教団編はマジで楽しかったです。ここで一回放送できないもん作っちゃって作り直したせいでスケジュールメタメタになっちゃったんじゃないかって噂も聞いたことがあります。是非そのバージョンを見たかった。

ストーリーも演出も間違いなく面白い事は確実、だけども諸手を挙げて良いアニメだとは言えない、視聴後のそういうもどかしい気持ちすら制作側の意図した演出なのではないかと勘繰ってしまう様な怪作にして低予算カルト作でした。続き見てぇー!

木曜日

23時30分~「私の百合はお仕事です!」

TVアニメ『私の百合はお仕事です!』公式サイト
コミック百合姫の人気作『私の百合はお仕事です!』2023年4月6日より放送開始!

百合コンカフェで巻き起こるギスギス百合アニメ!

序盤の陽芽さんと矢野さんの話は正直あまりノれませんでした。過去の因縁も解決のさせ方も凄く強引でこれでいいのか?という感想を抑えきれませんでしたね。ただその次の果乃子さんと純加さんの話でやっとこのアニメの楽しみ方がわかってきました。それまでマジで「登場人物皆この糞みたいなバイトバックレた方が絶対に幸せになれるよ」って感情しか無かったですから。そこを面白くしてくれた果乃子さんはほんとに影の主役だったと思います。いつ刃物を持ち出してもおかしくないような静かな情緒のヤバさに思わずこちら、笑顔です。
そこからの純加さんの過去の店内であった悲しい恋愛話は楽しかったですね。いやマジで寧々さんはどの面下げて今キッチンやってんの?となってしまう。あといくら回想だからと言って五影堂(ごえいどう)って名前のキャラが出てくるのは卑怯でしょう。視聴者には音でしか伝わらないもんだからどうしたって力士の豪栄道の顔が頭に浮かびました。彼女持ちの女を遊び感覚で寝取る豪栄道……。バイト先の人間関係を恋愛で破壊する豪栄道……。これのせいで豪栄道がインターネットの一部ではGADと呼ばれている事や、当時としては結構しょっぱい成績の大関だったせいで全勝優勝した時の写真が悪質なコラ画像扱いされているネタなど、一生使わない豪栄道の無駄知識が増えてしまいました。

わた百合に話を戻して、サロンで起きた色々な問題に一応の決着がつき最後に残すは最終回だけとなって、エピローグ的な話をやるのかなと思っていたら唐突にぶち込まれたのが矢野のデカパイのせいで新しい制服がエロく見えてしまうという話。なんで最終回でそんな話をやってるんですか?
総じて最終的には非常に楽しめたいいアニメでした。二期もあったら是非見たいですね。

0時~「opus.Colors」

TVアニメ「Opus.COLORs」公式サイト
「スタミュ」の制作陣が贈る、完全新作オリジナルTVアニメ「Opus.COLORs(オーパス・カラーズ)」、2023年春放送予定!

青春パーセプションアートアニメ!

まあ当然の様にパーセプションアートとはなんぞや、ってところから話はスタートするわけで。アーティストとグレーダー、二人一組でVR空間にアートを生み出す事をどうやらパーセプションアートと呼ぶらしいと。そこまでは良かったんですがそのパーセプションアート学校に通う主要キャラクターが12人、流石に最初見分け付かなかったですね。

これがほんとに参入障壁で話も絵面も悪くはないんだけどイマイチ印象に残らないから途中まで本当によくわからないアニメだなと思ってました。
ただ5話でスクリブルという無許可のパーセプションアートを描いた犯人を捜す流れになってから一気にとっつきやすくなって、引き込まれました。ハンマーで絵(壁)をぶっ壊そうとしてきたシーンでは「22/7」以来の壁破壊アニメの到来に両手を上げて喜んじゃいましたね。先祖は多分GTOです。本当に好きなんですよね、物理的に壁を破壊するシーンがあるアニメ。
そこから各キャラを掘り下げつつ、主人公の親の死の真相、スクリブルの犯人、相棒との確執の解消と尻上がりに面白くなっていきました。
最終回なんて本当に出色の出来で、滅茶苦茶綺麗に終わってくれてほんとにこのアニメに付き合ってよかったなと。やっぱ最終話まで見ないとだめですね。このアニメの持っていたパワーを最初は見くびってました。設定的には全然続編もやれそうなのであったら嬉しいです。ただノルマ的に差し込まれるキャラソンとMVは全然刺さらなかったです。シュールで面白かったけどね。いいアニメでした。

0時30分~「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜」

TVアニメ「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する~レベルアップは人生を変えた~」
「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する」2023年4月TVアニメ放送開始!

読んで字のごとく、異世界でチート能力を手にした俺が、現実世界でも無双するアニメ。
異世界はまあ、もういいですよ。でもどうして現実世界でも無双しようと思ってしまったのか……そう思わずにはいられないアニメでした。

このアニメを見ての最大の気づきは現実世界というものは無双するようにはできていないんだという事ですね。
異世界で無双する方法は簡単です。数多の類似作品で手法が確立されているようにステレオタイプな悪役を出してチートなりなんなりでそいつを倒してしまえばいいのです。しかし現実ではそうはいきません。
今作では現実世界での無双を表現するために授業中の超進学校の校庭に暴走族が襲来し、遊びに行った商業施設ではビル一棟が燃える火事が起き、超進学校の課外学習がサバイバル訓練になり、川で魚をつかみ取りし、球技大会に芸能人のスカウトマンが襲来し、卓球台にスマッシュで穴をあけ、バレーで体育館が爆発しました。
無理がありすぎる上にもう無茶苦茶です。やりたい放題じゃねーか。
ただやはりそのトンチキな現実無双シーンは見ていて面白い事に間違いはないのでやはりそこが差別化ポイントではあったと思います。

他にも制作会社が悪名高きミルパンセということで(自分はコップクラフトをまだ許していません)絵面がかなり滅茶苦茶になっています。尺を稼ぐために変なズームを多用したり、動きのシーンの枚数を減らしてコマ送りみたいにしたかと思えば走っているだけなのにブラの制約をものともせず生きているかのようにおっぱいが躍動したり。
でもそういった絵面がやっぱりこちらを笑顔にしてくれることには変わりなく、先の現実無双とも合わせて視聴時は結構楽しめていました。なんだか悔しいですがこれもアニメ視聴の醍醐味なので。

1時~「勇者が死んだ!」

「勇者が死んだ!」TVアニメ公式サイト
『勇者が死んだ!』2023年TVアニメ化決定!「マンガワン」にて2014年12月〜2020年12月まで連載し現在20巻まで発売中。さらに2022年5月よりスピンオフ漫画「勇者が死んだ!神の国編」の連載がスタート!

主人公がほどよくスケベで女の子にセクハラしまくりながら尊敬されていく系エロギャグバトルアニメ。

全てが懐かしい、そんな気持ちになりましたね。一昔前、それこそ2000~2010年代のちょっとオタク向けラノベとか漫画雑誌(ガンガンとか少年エースとか)ってこういうノリの作品多かったよなぁ。
聖剣の大きさと形が任意だという部分を上手く扱ってピンチを打開していくのはマジでバトル漫画の系譜を感じましたね。滅茶苦茶上手い!ってなりましたもん。

基本的に安定して楽しめる作品ではあったんですが、一つ問題があって、中盤以降、本筋の問題が解決してない状況で唐突にサブクエストが生えてきてそのサブクエからもサブクエが派生して、みたいな状況に陥って結局今何やってんだっけ?って思ってしまう事が多発するんですよね。
実は途中でこれの原作を数年前に読んだことがあると気づいたんですがこの今の本筋が何かわからなくなるという事が原因で途中で読むのを辞めてしまった事を思い出しました。
もう少し話をすっきりさせてくれれば分かりやすく楽しめたのになと少しだけ残念に思ってしまったアニメでした。でもそういった洗練されてなさみたいなのも一昔前の作品っぽいんだよなぁ。

金曜日

0時30分~「終末のワルキューレⅡ」

アニメ『終末のワルキューレⅡ』
「月刊コミックゼノン」で連載中、累計発行部数1,000万部突破の大人気漫画の、アニメ第2期!!!!!アニメ『終末のワルキューレⅡ』2023年Netflixにて独占配信

21秋クールぶりの2期ですね。Netflix謹製アニメで1話時点ではAパートで戦闘に入る程のテンポの良さを見せてきたのでビビリました。お前本当にあの終末のワルキューレか?とか訝しんでいたら2話に入った途端持ち前の間延びした回想を繰り出してたので安心しました。これだよこれ、やっぱりCM跨ぎの回想のテンポの悪さったらたまんないですね、格が違います。結局最終話までトータルで試合は2試合(+番外の1試合)しか進みませんでした。毎週交代で回想をしているからこんなことになるんだよ。令和のドラゴンボールです。

バトルの内容も本当にお粗末で1期から引き続き他の格闘漫画のパッチワーク。キャラの魅力もイマイチ。無理があって納得できない展開や戦闘なんてのは格闘漫画にはつきものではあると思うんですが、それをごまかす熱さとか勢いみたいなものが皆無なので矛盾がダイレクトで視聴時に不満に変わるのがこのアニメの味ですね。

せっかく実在の神や人間をモデルにしてるのにそれを全く生かさないオリジナルな過去もばかばかしいです。でもここまで低クオリティなものをやられてしまうと一周まわってちょっと好きになってきている自分が居ましたね。3期あるのかな、無くても全然いいんですがあったらまんまと見てしまうと思います。

1時23分~「BIRDIE WING -Golf Girls’ Story- 2nd season」

TVアニメ『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』公式サイト(バーディーウイング)
TVアニメ『BIRDIE WING(バーディーウイング)』Season 2 2023年4月よりテレビ東京、BSテレ東、AT-Xにて放送スタート!

こちらも1年ぶりの2期。今期は意外と続き物が多かったような気がしますね。

2期1話放送時間、テレビの前に待機していた自分の耳に1期と変わらないOP、広瀬香美「Venus Line」が流れてきた時には本当に興奮しました。あのBIRDIE WINGの続きが見れるんだと。OPを変えなかったのは本当に英断でしたね。

「BIRDIE WING -Golf Girls’ Story-」というイマイチ覚えづらく、あからさまに地味なタイトルに反して、かなりぶっ飛んだ作風だった1期でしたが、それに比べると突飛な絵面は若干鳴りを潜めていたように思います。ゴルフで義手が爆発したりロケットランチャー撃ったりみたいなやつね。でもそれは起承転結の差異に収まる程度だったと思います。1期はオリジナルアニメのスタートダッシュのため視聴者の心を掴む必要があって、2期はその必要性が1期に比べて大きくなかったという意味で。もちろんだからといってこのアニメの面白さが減ったなんて事は無いです。2期には2期の面白さが当然ありました。それに旗包みや水切りショット等、1期のようなトンデモゴルフの絵面が見たいという欲望に応えるシーンも用意されていたので飽きずに見る事ができました。

親世代のぐちゃぐちゃな人間模様は本当に見ごたえがありましたね~。牡丹と薔薇じゃん!となりましたから。本当に好みでした。昼ドラ好きなので。実の父親だと思っていた相手が血が繋がっていなくて、ライバルこそが本当の娘だったなんて展開最高じゃないですか。

通しで見ると意外と交わることが少なかった2人の主人公、葵とイブですが共通する怪我と親世代の因縁と交わした約束となによりゴルフによってその数奇な運命が結びついて最終回、2人だけの世界として完結しているのが非常に美しかったですね。百合だとかそういったちゃちな言葉で表現できる関係性は越えていました。今戦っている最強の敵ですらどこか蚊帳の外に追いやってしまうパワーは、この2人だからこそです。

いやーいいアニメだった。最高だった。2クール追いかけて本当に良かった。

1時55分~「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」

魔法少女マジカルデストロイヤーズ
TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」MBS/TBS/BS-TBS“アニメイズム”枠ほかにて2023年4月7日放送!

はっきり言います。自分はこのアニメが本当に嫌いです。正直嫌いになる価値すら見いだせないレベルだとは思うんだけど嫌いになってしまったものはしょうがない。

作品内で提示されている思想だとか、内容のお粗末っぷりはまあもうしょうがないとしても扱うテーマに対して見識が浅すぎたり、勉強不足が露呈しまくっているのが本当にクソだと思います。
オタクが「好きなものを好きなだけ好きと言え」ないからそんな糞みたいな世界にアゲインストして「好きなものを好きなだけ好きと言える世界」を目指そう。それはいいよ、一つの意見でしょう。
でもその思想をわざわざアニメという媒体を使って表現するために、社会に弾圧されたチェックシャツに瓶底眼鏡のオタクヒーローを描いて革命を起こさせるのはあまりにも稚拙すぎるし、なにより現実では承知の通りもうそんなフェーズはとっくに通り過ぎている訳で、オタクだってオタクじゃなくたって皆「好きなものを好きなだけ好きと言」ってるんだよ。こんな場違いなところでアニメの感想を長々と書かせてもらえてる自分が言うんだから間違いないです。(本当にありがとうございます)
そんな中で迎えた最終話で「好きなものを好きなだけ好きと言おう」という思想を持った主人公が敵のボスの作品に対して「お前の作るものは悪意しか感じない」といって完璧に否定したのはもう本当にふざけんなと思いました。それじゃあただの個人の趣味の押し付けじゃねーか。どう考えたって意見の異なる相手を肯定しない事にはその思想は成り立たないでしょう。「好きなものを好きなだけ好きと言」える世界は、それ以外の全ての思想を受け入れる責任とイコールでしか存在しえないはずです。

この「好きなものを好きなだけ好きと言える世界」を目指すといった一人よがりな被害者意識と安易なオタク賛美だけで出来た思想と、その結果生じる責任に関して凄く無頓着でいい加減な姿勢が今現在SNSなどで可視化されてるのオタクの加害性の表象に見えて本当にげんなりしました。
もうちょっとちゃんと現在のオタク事情を勉強してからこういうテーマは扱ってもらえませんかね。もちろん創作なんて好きなように作ってりゃいいとは思いますけど取り上げるテーマに対して最低限の紳士的な姿勢だとか真面目な態度ってのは必要だと思います。

他にもパンクスだとかアナーキズムだとか学生運動チックなヘルメットだとか色んな要素を扱ってますけどそれら全部が表層的な記号でしか無くて文字通りのファッションとしか扱われていない事に本当に腹が立ちましたね。
「Punk is attitude. Not style」ってのは多分パンクスに興味がある人間が一番最初に出会う基本精神だと思うんですが見事に真逆でした。クソが。
オタクカルチャーに精通した現代アーティストが原案らしいですが全体的に2010年代のヴィレヴァンから仕入れたみたいなビビッドさと露悪さの集合体で新規性は皆無なのでいい加減にしろよと言いたくなりました。

こんなに良い部分が見当たらないアニメも久しぶりです。本当に嫌いでした。

2時25分~「江戸前エルフ」

TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト
「少年マガジンエッジ」にて連載中の「江戸前エルフ」TVアニメ化決定!江戸と令和をつなぐゆったり下町コメディ、始まります。

ほんとにいいアニメでした。マジデス後の清涼剤、まるでサウナと水風呂。アニメを見ながら整いました。本当はアニメ単品の感想で前作品の影響なんて書くべきではないんでしょうが、まあそういう要素が絡んでくるのもリアルタイムで視聴しているからこそみたいな所なので。

ただそういう事を全部抜きにしてもものすごくいいアニメだったことに間違いはないです。本当に素晴らしかった。日常系の良さが詰まってましたね。
何気ない会話や神事の中にふと見える悠久を生きるエルダ定命の小糸のずれ。それが絶妙なニュアンスで匂わされることによって描写されるなんて事ない一日一日はこの2人の別離までのカウントダウンの意味を持つんです。おじさん泣いちゃうよ。
最終話、そういった部分にフォーカスしたエモくて湿っぽい話を持ってくることもできたと思うんですよ、そうしたほうが収まりもいいし。でもそうじゃなくて、いつも通りの日常を、いつも通りに描いてくれました。全てのまとめである最終回で、殊更それを取り上げずにいつも通りの日常を描写することで、逆に1クール通して所々で匂わせてきた、少しずつ醸して来た〝日常〟が有限で、かけがえのないものだという事をこれでもかと強調できていたんじゃないかと自分は思います。
今日と同じような明日がまた来るけども過ぎてしまった今日はもう二度と来ないので。
自分は失ってはじめて気づきました、江戸前エルフがあった金曜日の尊さを。

エルダ役の小清水亜美さんがマジではまり役でしたね、「○○だぁ!」の言い方が本当に良すぎて萌えでした。2023年になっても萌えはマジで偉大です。小糸役の尾崎由香さんも自分はけもフレ以来に見た気がするんですが滅茶苦茶ハマっててなんか嬉しくなりました。
放送終了後、舞台の月島で内容に即したスタンプラリーをやってて聖地巡礼とか全く興味の無い自分でも行こうと思うくらいいいアニメでした。体調崩して寝込んでたので結局行けなかったんですが。

土曜日

22時~「天国大魔境」

TVアニメ「天国大魔境」公式サイト
2023年4月1日より TOKYO MX/MBSほかにてTVアニメ放送開始!『このマンガがすごい!』2019 オトコ編 第1位。予測不可能な近未来SFアドベンチャー! アニメーション制作:Production I.G 

ポストアポカリプス探索アニメ!個人的にかなり好きなジャンルです。

ただそのジャンルで期待するような孤独感とか寂寥感にフォーカスしたような作品ではないです。そう言うのが見たい人は「少女終末旅行」を見てくれと言わんばかり。(みんな見よう!)どちらかというとサスペンスや、伏線が徐々に明らかになっていくのが好きな方向けという事ではミステリ的なフレーバーもあるアニメでした。

物語はマルとキルコが崩壊した関東を旅する探索パートと謎の学園で過ごす少年少女たちのパートに分かれて進むんですけど、結局その二つは最後まで交わることなく終わりました。すがすがしいまでの続きは原作でエンド。まあ原作が全然続いていて、謎のほとんどがまだ明かされていないらしいのでしょうがないとは思うんですが1クールアニメを見ていてこういう終わり方をされると流石に少しがっかりというか、もう少し何か「終わったぁ!」と思える何かは用意できなかったものかと考えてしまいますね。

本作の良かったところはそれだけ消化不良の場所を残しながらも楽しく見れてしまうという部分だと思います。
伏線や謎はあくまでサブクエストで気付ければもっとこの話が楽しくなるよ、わかんない人には最後にちゃんと種明かしがあるよといった程度にとどめて、本筋というかマルとキルコの旅を追っているだけで十分にアニメ視聴としての楽しみは担保してある。その割り切った作り方のおかげで12話かけてもこれだけ何も明らかにされない話を楽しんで見る事ができたんだと思います。だからこそ、本筋であるマルとキルコの旅には大きな一区切りを用意して話を閉めて欲しかったなという思いが強くなるんですが。

凄かったのは10話でしたね。日常シーンから戦闘シーンまでかなり動くし思いっきりデフォルメしているシーンもあるしで、かなり挑戦的な、ともすればアニメーターの玩具になってると揶揄されてしまいかねない、そんなリッチで迫力のある画面になっていました。
シーンごとにキャラの書き方から全く違うこの手の回は個人的には統一感が無くてあまり好きにはなり切れない所があるんですが自分個人のそんなチンケな感情は吹っ飛ばされるほどのパワーが画面にありましたね。話もしっかり作り込まれていて、二転三転掌で転がされるのが気持ちよかったです。

アニメ外の部分で申し訳ないんですが作者の他作と比べてかなりダークな作風になっているため、たまたま一緒に見ていたそれ町だけは読んでいる知人が「……こんなのも書くんだね」と結構ドン引きしながら言っていたのがこのアニメで強く印象に残っています。性描写も結構露骨で健全スケベから強姦まで生々しくねっとり目に揃ってました。個人的には「性描写を入れれば話が重厚になる」みたいな思想が嫌いなので辟易としちゃう瞬間があったのはちょっと残念だったかな。もちろん本作がそれだけを意図している訳では間違いなく無いんですが。アニメのエロは笑い飛ばせる奴が良いです。でもそんなことは別にして面白いアニメでした。2期があったら絶対見ます。

0時30分~「山田くんとLv999の恋をする」

TVアニメ「山田くんとLv999の恋をする」公式サイト
「GANMA!」連載中、『山田くんとLv999の恋をする『山田くんとLv999の恋をする2023年TVアニメ化決定!

ここだけの話、マッチングアプリに生息している女性は皆今期「鬼滅」より「推しの子」よりこれを見てたらしいよ(※要出典)。そんなラブコメアニメ。

序盤から結構違和感のある展開が押し寄せて正直最初は好きじゃなかったんですよね。いくら浮気されて捨てられたからといって成人女性の茜さんが深夜に未成年男性の家に押し掛けて世話をさせるのは普通に最悪じゃんと思いながらみてました。男女入れ替えて考えてみてくださいよ、通報待ったなしでしょ。山田君は絶対にそんな女選ばないほうが良い!と思っていたんですが、ただその後にぞくぞくとヤバ女ヤバ男が生えてきたせいで相対的に茜さんが一番まともな人になって最終話では自分も二人の恋路を祝福していましたね、尻上がりに面白くなっていくタイプでした。

自分はラブコメをあまり好まないというのは「スキップとローファー」の項で書いたとは思うんですが、アニメを最大限楽しんで見るために飼っている心の中のOL(港区在住設定)がこのアニメを大変好んでいたのでいいアニメだったんだと思います。普通にキュンキュンしましたしね。ネトゲ内での茜さんのアバターが滅茶苦茶可愛かったのも個人的に癒されポイントで好きでした。

一番印象深かったのは外付けグラボの下りでしたね、出て来るアニメは間違いなく世界初だと思います。そもそもそんなメイプルストーリーみたいなゲームにグラボが必要なのか?なにより茜さんのノートパソコンってThunderbolt3に対応してるの!?とひとしきり笑ってしまいました。それ以降茜さんの部屋のシーンでは律義に何度も映してくるし。

1時~「永久少年(再)」

アニメ『永久少年 Eternal Boys』公式サイト
「エターナルボーイズ」公式サイト/おっさんアイドルの青春が始まるー!?【6月9日(金)劇場公開決定!/4月1日(土)よりTOKYO MX、BS11にて再放送/5月19日(金)より特別編集版が2週間限定劇場公開】

面白かったです。本当に。1話15分、2クールのアニメを1話30分、1クールに圧縮した再放送、映画の公開時期に合わせてのことだったんでしょうが見やすくなっていて何よりです。

「おっさんアイドル」という事だけども過度におっさんあるあるに頼ることもなく、また、おっさんというくくりで集められたキャラ達も個人回で深堀されるにつれキャラが立っていき、おっさんの集まりというよりも人間の集まりとして見れたのがしっかりしてるなぁと思いましたね。

話の構成も特に奇をてらう事なく、キャラを掘り下げて、アイドルグループ「永久少年」の活動をしっかりと追って、手堅くイベントを積み重ねて最後に繋げていく盤石な造りでした。
テーマである「夢を追いかけるのに遅い事はない」みたいな部分も押しつけがましくなく、適度にデフォルメされてエンタメとして受け入れやすい作りになっていたのは本当に良かったなぁ。この手の〝ちゃんと〟面白いアニメはやっぱり好きですね、どんなジャンルかに関わらず。

本作は一応女性向けというか、ターゲット層は女性なんだろうけどしっかり30代男性の心にも刺さりました。だって面白かったからね。映画の日程調べなきゃ。
惜しむらくは配信が滅茶苦茶弱いってところでしょうか。本放送の時は確かFOD独占、再放送の今になっても辛うじてdアニメストア関係とU-NEXTがあるくらいでかなり寂し目です。

2時~「異世界召喚は二度目です」

【公式】TVアニメ「異世界召喚は二度目です」
2023年春放送開始!元勇者、かつて救ったはずの異世界に舞い戻る。原作:岸本和葉 / 嵐山(双葉社 モンスターコミックス)、セツ CV:土岐隼一

異世界召喚は二度目らしいですよというアニメ。

なんというか語る部分が少ないアニメなんですよね、本当にテンプレートといった感じでタイトル通り本作の差別化ポイントである「異世界召喚は二度目である」って部分も最初は他キャラとの関係値がマックスである事を描写を省略した上で説得力を持たせる上手い設定だなとは思ったんですが各話ゲストキャラが基本的には使い捨てなのでイマイチ上手に扱えていなかったと感じたのがもったいなかったですね。
半面その使い捨ての結果生まれたメインキャラの少なさは6話で滅茶苦茶ハマってました。メインキャラ二人とゲストキャラという少人数が馬車の中で会話と推察を繰り広げて話が進んでいく様は怪作「てっぺん!!!!!!!!!!!!!!!」5話を否が応でも思い出しました。こういうちょっと実験的な話が続いてくれればかなり面白くなるぞと思わず姿勢を正して翌週から視聴に望んだんですが以降でそんな話は無くて残念でしたね。

日曜日

22時~「事情を知らない転校生がグイグイ来る。」

TVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』
TVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』2023年4月9日(日)22:00より放送開始

同級生から死神と呼ばれていじめられてる西村さんと事情を知らずにグイグイ来る高田くんのラブコメ。最初からいきなり解像度高めの小学校でのいじめがぶっこまれていて面食らいました。

元々がTwitter漫画という事もあって、扱いが凄く軽いというか、いじめという問題をこれくらいのエンタメとして消費してしまっていいのかという引っ掛かりはどうしても感じてしまいましたね。4話までは。

本当に4話が個人的ターニングポイントでした。どうにも事情を理解できていなかった高田くんがその辺の事情を理解して、それでも死神と呼び続けて欲しいと言う西村さんでその引っ掛かりは完全に消えました。シリアスに取り繕っていないだけでこのアニメめちゃくちゃちゃんとしてました。全然軽くなんて扱ってなかった。偉い、俺の目は節穴、もっとアニメを見る筋力を鍛えろと自分に言いたい。この回と続く5話、それと父親側の心情が描かれた7話は本当に素晴らしい出来だったと思います。いや全体を通して出来の悪い回なんて無かったんだけど特にね。

最終話でなんてことない小学校の風景をさっぱりと描き切ったのも凄く良かったですね。
特別な何かを描かないことによって1話時点と13話時点で変わったものが何なのかをしみじみと感じ取る事ができて。江戸前エルフでもそうだったんですけど描かない事で際立たせる美学みたいなものに自分は弱いです。最初こそ引っ掛かりを感じましたが総じて最高な視聴体験でした。やっぱり最後まで見るのは大事です。

23時~「ワールドダイスター」

ワールドダイスター公式サイト
“演劇”ガールズプロジェクト『ワールドダイスター』公式サイト。タカヒロ×Mika Pikazoのタッグが贈る、演劇に魅せられた少女たちの青春群像劇。TVアニメ・ゲームアプリで2023年開幕!

時は大演劇時代。役者一人一人が〝センス〟と呼ばれる特殊能力を持って舞台の上に立っている中、演劇に魅せられた少女が〝ワールドダイスター〟を目指す青春群像劇アニメ。

〝センス〟の扱いがよくなかったかなぁ…。一話、主人公ここなさんが友達の静香さんと一緒に上京して来て劇団のオーディションを受ける訳なんですが静香さんの扱いがどうにも違和感で他の人には見えてないらしいというヒキなんですが、「アイドリープライド」を見たことがあるのでどうしても幽霊かなんかだろと分かってしまうんですよね。結局静香さんはここなさんの〝センス〟が生み出したイマジナリーフレンドだったんですがその後当然の様に実体化して周りがそれを受け入れて挙句舞台に乱入してくるのにはひっくり返りました。ジョジョのスタンドより相当アグレッシブです。
他のキャラクターの〝センス〟もかなりふわっとした扱いで、結局〝センス〟という設定を持て余してしまった感が否めなかったですね。
ストーリーとして少女達の成長であったり群像劇を描きたいんだろうなという事は伝わってきましたがこの設定なら舞台上での能力バトルに振り切ってくれたほうが視聴後の満足感は高かったんじゃないかと思ってしまいます。

演技の上手さを表すために、演劇シーンの作画枚数を増やしてぬるぬる動かしていたのはなんか嫌でしたね。分かりやすく、理にかなった表現方法ではあると思うんですが、作画枚数が多いから上手いんですよという見せ方はあまりアニメとして上品では無かったなと。
作中で上映される演目も「竹取物語」「アラビアンナイト」「ロミオとジュリエット」「オペラ座の怪人」とかなりコテコテの古典ばかりなのに劇中に入る歌はもろにアニソンで浮きまくっていたのももうちょっとどうにかしてほしかったです。

色々と気になった部分だけをつらつらと書き連ねてしまいましたがクオリティが低かったかというとそうでもなくて、1クール12話飽きずに見れる作品ではありました。でも続きはもういいかな。

23時30分~「マイホームヒーロー」

TVアニメ『マイホームヒーロー』
サラリーマンが家族のため修羅の道を進む、クライムサスペンス『マイホームヒーロー』2023年4月TVアニメ放送開始。

いやークソ面白かったなぁ!

これ本当に「100万の命の上に俺は立っている」と同じ原作者なの?
延人の死体処理、追いかけて来る半グレのとの戦い方、話が進むにつれて「鳥栖哲夫がただの一般人は無理があるだろ!」って笑いながらツッコんでしまう。本筋の〝ジェットコースタークライムサスペンス〟(公式が言ってる)も滅茶苦茶面白い。本当に文字通りのジェットコースタークライムサスペンスでした。こんなに内容にぴったり即したキャッチコピーも珍しい。

毎週のヒキやハラハラさせる演出もバッチリ決まっていて「早く次の話見せてくれ」と思いながら毎週楽しめたのでこれがリアルタイム視聴の楽しみだよなとしみじみ思いましたね。

ただ残念な部分としては製作が悪い意味で有名な「手塚プロダクション」だという事で、低予算感あふれる画面、エンドロールに並ぶグロス先の大量の外国人の名前には結構がっかりでした。これなら原作読んでりゃよくね?という感想はぬぐえないなと最終話までは思っていたんですが、最終話、全ての犯罪を終えて死体を埋めた場所に台風が接近しているというニュースを見て不気味に微笑んで「大丈夫だよ」と呟く主人公・鳥栖哲夫のシーンは滅茶苦茶よかったです。チープな作画もマッチしていて非常に不気味な画面でした。
しかもこれ、直前の話で示唆されてた「一般人でここまでやる鳥栖哲夫こそ一番おかしい人間だ」という部分を少し膨らませた演出で、アニメオリジナルだったんですよね。

このシーンがあるおかげで主人公鳥栖哲夫の印象が原作と少し変わってくる感じがあるので、二期があるとしても別に無視すれば何の問題も無い程度の些細なシーンでアニメオリジナルの主人公・鳥栖哲夫像を見せる演出を入れてきたことに、アニメ化する意義を見せられたような気がして勝手にテンション上がりました。手塚プロいけるやん!

0時~「転生貴族の異世界冒険録」

TVアニメ 転生貴族の異世界冒険録 〜自重を知らない神々の使徒〜 公式サイト
通り魔から少女をかばい死んでしまった椎名和也は、貴族の三男カイン・フォン・シルフォードとして、夢にまで見た剣と魔法の世界に転生した。この世界の慣習にならい五歳の誕生日を迎え洗礼を受け、神々の加護を受けたカインだったが、そこで与えられたのは多大過ぎる神々の加護と、もはや規格外とも呼べるステータスで…!?

話のクオリティは間違いなく低いです。テンプレートのごり押しで、剥いても剝いてもどこかで見た事のある展開が続く玉ねぎみたいなアニメでした。
でもやっぱりアニメ視聴の楽しさって話が面白いかどうかだけではなくて。今作はそんなストーリー以外の所で最大限に楽しませてくれるアニメでした。

まずOPから風格が違いましたね。90秒しかないOPのうち、サビの頭6秒間主人公とヒロイン2人が満面の笑みでこっちを見ながら欽ちゃん走り(貴族走り)する映像を叩き込まれた瞬間にどうしようもなく笑顔になりました。
他にも、既視感のある展開はものすごいテンポで吹っ飛ばして行ったり、チート能力を持っている主人公を活躍させた後は大人にちゃんと怒られたりと、この手のアニメに辟易している人間こそ楽しめるようにという配慮が行き届いていたと思います。

もちろん欽ちゃん走りは時代錯誤、テンポの良さは感情移入の阻害、怒られは言い訳がましいと言ってしまう事もできるんですが、見た人間にそう思わせない、言ってしまえば作品の持っている愛嬌の部分が満点だったから見終わった後にいいアニメだったと思う事ができたんだと思います。
アイキャッチだったり、OP前の語りだったり、細かなギャグだったり、こてこてのアニメチックな反応だったりと挙げればきりがないんですが作っている側の「このアニメを楽しんでね」というメッセージが素直に伝わってきました。
こっちだってアニメが好きで見ているのでそんなにてらいなく「楽しんでね」と言われればそりゃもう前のめりになって楽しんで見ちゃうに決まってるじゃないですか。ストーリーの新規性の無さなんて大した問題じゃなかったです。良いアニメでした。

1時~「漣蒼士に純潔を捧ぐ」

TVアニメ「漣蒼士に純潔を捧ぐ」公式サイト | 漣蒼士(さざなみそうし)
「私と今まで味わったことのない経験…しませんか?」 連載開始と同時に電子コミック界騒然! 極道TLの金字塔、溺愛繚乱ドラマチックラブです! TOKYO MX・BS11にて2023年1月放送開始!プレミアム版はAnimeFestaにて配信!

最早定着して久しい日曜25:00〜25:05のコミックフェスタの5分枠、通称「僧侶枠」。由来が気になった方は調べてみてください。
かなりパンチの強めな作品を数々世に出して来たこの枠、最近も「ハーレム♡キャンプ」、「しょうたいむ~歌のお姉さんだってしたい~」、「森のくまさん、冬眠中」辺りの怪作を世に出してくれていて本当に嬉しい限り、一時期は失速したムードが流れていた覚えがあるけど最近はちょっと盛り返してる感がある、そんな大人向けアダルティな5分アニメを放送する枠の今作でした。

内容としては自分を変えたいと思うヒロイン凪紗さんが海外旅行で出会った漣蒼士(さざなみそうし)というヤクザに一晩だけ妻のふりをしてほしいと頼まれて…という感じ。
正直主人公である漣さんの名前は三週目になるくらいまで読めなかった覚えがあります。
ヒロイン凪紗さんは本当にヤクザじゃなくて幼馴染の警察官を選んだほうが良いと思うけど幸せそうなのでOKなのかな。
漣さんはヤクザという肩書の割には急に会社を買収したりする以外はモラルの終わっている僧侶枠男性陣の中では比較的紳士的で倫理観をしっかり持っていた人だったのが面白かったですね。直前のハーレムキャンプと歌のお姉さんの倫理観がぶっ壊れていたからそう感じるだけかもしれないですが、でもレイプしなかったのは本当に偉いです、繰り返しになりますが僧侶枠の倫理観は本当に終わっているので。
全体的に小さくまとまった感のある作品だったとは思いますが、「ヤクザをヤり捨てするなんて……」というパンチラインを残してくれたり、細かく笑えるシュールな場面が沢山あったのは僧侶枠の地力の高さを見せつけてくれたようで嬉しくなりましたね。

果たして僧侶枠の大傑作「甘い懲罰〜私は看守専用ペット」を越える作品は出て来るのか、来期の僧侶枠も楽しみです。

おわりに

いかがだったでしょうか、「たかだかアニメに何言ってんだこいつ」と思っていただければ幸いです。
他にも「あれを見てないとかにわかかよ」「感想が全然的外れだボケ」などの温かいご意見、いつでもお待ちしております。更に、ここまで読んで23春アニメに一つでも興味を持ってくださる酔狂な方がいらっしゃれば、こんなに嬉しい事はありません。そのアニメが貴方の西域です。ぜひ最終話まで12話の旅を楽しんでください。

最初に全29本と書いてしまいましたが、まだ最終回を迎えていない物や、見たけれどどうにも感想を出力できずに断念したものなどがまだ合わせて約10本程度あります、無念です。また、慣れない日5枠ということでついつい貯めてしまい、まだ視聴できていない「機動戦士ガンダム水星の魔女」、時間が他アニメと被っていたせいで迷ってしまい視聴を逃した「君は放課後インソムニア」あたりの評判のいい話題作を見れていないことは痛恨の極みです。猛省して次に生かしたいと思います。

なので23春クール見たアニメの総数は大体40本ほど、そして今回の感想の字数は約2万字となりました。

40本と2万字!40本と2万字!40本と2万字!40本と2万字!

最後に名作格闘漫画「高校鉄拳伝タフ」より宮沢静虎(オトン)の金言を引用して、自分の心に刻んで終わりたいと思います。

〝どの世界にも通じることやが…中身のないヤツが数を誇る!〟

宮沢静虎(オトン)ありがとう、これで俺は来期もアニメの視聴本数というクソの役にも立たない恥ずかしい数字を誇ることなくアニメに向き合う事ができるよ。

それでは、次は遅くとも23夏クールの終わり、3か月後にまた。

助六稲荷

徳島県生まれ。長崎→島根→鳥取→徳島→山梨を経て現在は東京在住。

面白いアニメとエモいバンドが好きな20代独身男性。
ギターが弾けます、それ以外は目下勉強中。
よろしくお願いします。

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